「リニューアルにおけるSEO全般の監修」という役割

SEOを行う上でサイトの構造や仕様を変更できるリニューアルのタイミングは、絶好の機会となります。リニューアルの際にしっかりとSEOを意識した構造・仕様にしておくことで、自然検索からの流入が増加するということを事例紹介という形で紹介させていただきます。

今回紹介させていただくのは、今年の2月初旬に自社サイトをリニューアル公開した老舗ホビーメーカーA社の案件になります。

リニューアルの実作業を担当したのはクライアント企業と長いお付き合いのある制作会社で、以前のリニューアルもそちらの制作会社によって行われています。

弊社の方では、「リニューアルにおけるSEO全般の監修」という立場で、

  1. サイトの基本構造の設計
  2. SEO観点からの各種仕様設計
  3. 制作過程におけるSEOコンサルティング

を担当させていただきました。

サイトの規模としては、製品ページを中心に、サポートページ、イベントやメディア等の告知ページ、企業概要ページ等、1,000ページ強ほどがリニューアル対象となりました。独自CMSで出力されるページも多いため、現時点では3,000ページ程が一切のエラーが無い状態でインデックスされています。(クロール効率が向上し、インデックスされるページもリニューアルを経て倍増しました。)

昨年7月頃にプロジェクトが開始し、今年2月にリニューアル公開した案件ですので、コロナ禍でのリニューアル作業となったわけですが、開始から公開に至るまで、クライアント担当者様、制作会社、弊社とほぼリモートのみで繋がる形での作業となりました。(実際にはプロジェクト開始時にクライアント企業担当者様、制作会社の代表の方とディレクターの方、私とで初回の顔合わせだけ行いました。)

弊社では、創業当初より遠方のお客様とのリモートでのコンサルティングの実施経験は多数ありますが、このようなクライアント企業、制作会社と弊社の三社でのコミュニケーションがとても重要となるサイトリニューアルの案件において、ビデオ会議やチャットといったリモートのみで完結させるスタイルは初めてでしたが、クライアント担当者様、制作会社の方々のコミュニケーション能力の高さにも恵まれ、リモートでも特に問題無く進行させることができました。

自然検索からの流入は1.66倍に

さて、リニューアルの際にSEOを意識しておくことで、どのようなリターンが得られるかという点については、まずは結果を見ていただくのが早いと思います。

こちらはGoogle Analyticsにおいて自然検索(Organic Search)に限定した流入ユーザー数の、2019年1月からの月ごとの推移を表示した例です。コロナ禍の影響と区別するために、2019年からのデータを取得しています。また、わかりやすいように赤い線でリニューアルのタイミング(2021年2月)を示しています。

実際の数値は明かせませんが、上の図で見られる通り、リニューアル前(2019年1月~2021年1月)の月別平均の検索流入ユーザー数と比較すると、リニューアル後(2021年2月~5月)の月別平均の検索流入ユーザー数は1.66倍ほどに増えています。

一般的に、リニューアルを実施するとしばらくは流入減が起こり、一定期間が経過してからリニューアルのSEO効果が出てくると言われていますが、今回の案件では構造設計をしっかりと行い、必要なリダイレクトの処理も漏れの無いよう行うことで、サイト構造の変化やリダイレクト等によるロスよりも、様々な面での改善によるメリットが勝り、リニューアル後すぐに検索流入を増やすことができました。

主要キーワードからの新規顧客の開拓・ブランド認知の向上を狙う

また、こちらは特にクライアント担当者様からのリクエストではありませんでしたが、お客様の扱われる商品のジャンルを象徴する、ある重要なキーワード(ahrefsによると月間検索ボリュームは4.5万ほど)において、上位表示させることを意識していました。私自身、このキーワードにおいてクライアント企業のサイトが1位にあることが、検索ユーザーの利便性にとっても、クライアント企業側での新規顧客の開拓という観点、あるいはブランド認知の向上においても重要だと思いましたので、構造設計・仕様設計の両面からの改善を通じて、ランキングの向上を目指しました。

このキーワードでは、以下のGRCの出力画像の様にリニューアル前は3位前後に位置していたものの、リニューアル直後(2021年2月)にこそ変動も見られましたが、リニューアル1ヶ月後くらいからはほぼ1位に位置するようになりましたので、クライアント企業のサイトが1位であることの意義が検索ユーザーにも受け入れられたものと考えます。また、サイト全体を通じて6月のコアアップデートの影響は受けていませんが、このキーワードもコアアップデート後も1位のままです。

実際に、Google Search Consoleで確認しましても、このキーワードでのクリック数(訪問数)はリニューアル前と比較して2倍近くに増えていて、新規顧客の開拓に大きく貢献する重要な流入源となっています。

Core Web Vitals対策も万全に

また、近くランキング要因として採用されるCore Web Vitalsにおいても、リニューアル着手時には既にアナウンスされていましたので、以下の様に、サイト全体において、LCP、FID、CLSの3つの指標すべてにおいてフィールドデータで合格判定されていますので、いつページエクスペリエンスアップデートが実施されても心配はありません。

リニューアルこそSEOの絶好のタイミング

「リニューアルの際のサイト設計に力を入れなくても、今では検索エンジンは賢いから違いは出ない」というような内容のブログ記事を最近目にしましたが、検索エンジンがいくら賢くても、それでも、よりわかりやすいサイトを好むため、しっかりと検索エンジンに最適化することで、きちんと結果が出ることをお伝えしたく、クライアント担当者様にもデータ提供の許可を得た上で、事例として紹介させていただきました。

コーポレートサイトあるいはECサイトのリニューアルを検討している企業担当者の方には、折角のリニューアルのタイミングを是非SEOの好機として、投資を無駄にしない形で資産を残せるようにしていただければと思います。

今回の案件を通じて、弊社では完全リモートでのリニューアルのノウハウも得られましたので、遠方のお客様でも、サイトリニューアルやサイト制作のご用命がありましたら、是非お気軽にお問い合わせいただければと思います。お客様ご指名の制作会社との協業という形でも、弊社側で制作の布陣を組ませていただく形でも、どちらのスタイルでも最大限の結果に繋がるように最善を尽くさせていただきます。